治療では遅すぎる。「新しい医療」のアップデート。

医療の概要

人生100年時代。

AI、IoT、5Gのテクノロジーの発展。感染によるコミュニティの変化。

おおきな変化の中での新しい医療の形

必要なのは、人間らしさを目的とした医療の実現ための生きる場としての医療の転換。

新しい発想に基づく医療、「ストリートメディカル」。

「新しい医療とは、学問と実践領域の大幅な拡張である」

扱うべき対象が「病」から「人」にシフトすることで、古典的な臨床医学の範囲を超えて、人を扱うことによって広がる拡張領域を目指すもの。

この概念の導入によって、医療は無数の答えを用いる広大な実践領域へと発展するものと予測する。

はじめに

私たちの生きている社会は、疾病の変化テクノロジーの変化生活・文化圏の変化がおこり、目まぐるしい変化をしています。そういった変化の中で、医療は変化していく必要があります。その医療の目指すべき姿を再定義した「ストリートメディカル」という新しい医療を学んでいきます。

疾病の変化

疾病の変化。今までは、近代医学がもたらした革命的進歩により病にたいして、処置をほどこし、医療サービスを提供していた。この医療サービスのおかげで、人間は長生きすることができました。この時代の医療を「病を診る医療」と著者は読んでいます。

しかし、この「病を診る医療」では、近代医学がもたらしたものは長生きだけではないです。新しい課題を負うこととなりました。がんや脳卒中、心筋梗塞などの「非感染性疾患」へと疾病構造が激変。高血圧や糖尿病など時間をかけて身体を傷つけていく生活習慣病、自殺、うつなどの精神疾患、認知症など、日々の生活に自由をきたすような疾患が増加しています。この変化を著者は「命を脅かす病」から「生活を脅かす病」に変化したと述べています。疾患が命だけでなく生活を蝕むようになりました。

こうした疾患の変化に対して、今までの「病を診る医療」は、変化をつげることが求められます。生命を考慮するという状況だけではなく、生活の質(QOL)を考慮するという軸が必要となってきました。日々の生活や人生まで。つまり人を観ることが医療には必要となってきています。

いわば、医療は、「人を観る医療」へと変化しなければいけない状況になっています。

テクノロジーの変化

テクノロジーの変化。IoT、AI、5Gなどのテクノロジーの革新。様々なテクノロジーとともに進展する技術が医療現場に実装されれば、多くの患者さんの救済することにつながっていきます。その例として、AIによって問診業務を1/3にまで削減する「AI問診Ubie」などがあります。こうした、テクノロジーの活用には、医療と異分野が連携して、サービスを創造、提供していく必要があります。

しかし、医学部は医師のみからなる超均質集団であり、異分野との連携も、薬学、高額など一部の理系学部とも連携せずに医療は孤立しています。この孤立化した医療から、IoT、AIなどのテクノロジーを医療業界に持ち込み、実装していくためには理系、文系、芸術系などのあらゆる分野の専門家が連携していくことは必然の課題となっています。当然のことながら、新たな価値を提供していき、伝えていく活動をしていくために多業種連携は必要となっています。

生活・文化圏の変化

テクノロジーの進歩によって実現されつつある他者の価値観との接続は、家族のあり方、暮らし方を変容させています。戦後の貧しい時期を凌ぐために必然だった大家族も経済成長とともに核家族化にシフトしています。

また、近年のSNSの成長に伴って、オンラインサロンやシェアハウス、オフィスが登場しています。より目的やビジョン嗜好型のコミュニティが広がりを見せています。より強固に目的意識やビジョンを共有する同士が一部のプライベートを時間をともにする「拡張家族」と呼ばれる小さなコミュニティが傾向として現れています。いわば、「進化型・ムラ社会」となっていまる。

他者との価値観との接続がスムーズになってことで、人々は様々な生活・文化圏において、機能や付加価値にもとづいてコミュニティを自由、柔軟、かつ積極的に選択できるようになりました。このような状況は帰属するコミュニティが複雑化した結果、今までは交わることのなかった人たちが交錯する可能性が高まりました。コロナウイルスの予防対策でわかるように、医療機関の努力よりも人々の生活での変化が求められている。日々の行動や生活を変えるきっかけをつくる方法の重要性が明るみになってきました。

新しい発想に基づく医療、「ストリートメディカル」。

こういった変化のなかで、医療における4つのパラダイム・シフトが必要となってきます。

今までの医療は、病を前提として医療はサービス提供されています。この医療サービスは、医師、医療従事者を中心として提供されています。また、医療機関は、患者さんの情報を守るために情報は公開することは少なく、連携することなく病と向き合っています。さらに医学部といった医療系学部は独立しています。

まとめると今までの医療は、疾中心閉鎖・秘匿主義役割分担主義医師中心主義の4つが根底に存在しています。

これに対して、上記で述べたように、疾患の変化、テクノロジーの変化、生活圏・文化の変化の3つの変化が起きています。この変化に対してこれからの医療は、人間中心共創化・共有化役割共有コミュニティ中心の4つがパラダイム・シフトしていく予想されます。

これからの医療は、個別の疾患ではなく、人間らしさを中心とし、家庭、職場、学校、医療機関など所属するコミュニティでの提供を目的としていくことが重要性を増します。また、医療機関だけではなく、民間企業と連携し、医学、薬学、工学、芸術などの様々な分野が互いにかけ合わさり、価値を創造していくことが求められます。この医療の変化は、受け手である人々にとっても押し寄せ、医療に関する情報とサービスはより共有化されていきます。すなわち、医療は社会化されていきます。この現象は「医療の空気化」とも言えると思います。健康か否か、病気か否か、治療か否か、などの従来の医学的基準で区切ること自体がナンセンスであり、多様なあり方とともに、人間らしい生活を目的とした医療提供をしていくといった変貌が考えられます。

今日の医療これからの医療
疾中心主義人間中心主義
閉鎖・秘匿主義共創化&共有化
役割分担主義役割共有型
医師中心主義コミュニティ中心

これを、著者武部さんは、「新しい医療とは、学問と実践領域の大幅な拡張である」とまとめています。そして、この新しい医療を再定義するにあたって実践領域の領域を明快に「ストリート・メディカル」と表現しています。

ストリートメディカルとは、扱うべき対象が「病」から「人」にシフトすることで、古典的な臨床医学の範囲を超えて、人間を扱うことで広がる拡張領域をさすものです。日常生活におけるすべてのタッチポイントが、その実践対象となります。従来型の投薬や外科的アプローチもあれば、衣食住など環境へのアプローチ、ITツールやセミナー、イベントなどのアプローチ、娯楽へのアプローチも可能です。

まとめ

「医療の転換期」で述べたように、これからの医療は、「1人1人の患者さんが主役になりつつ、好きな場所と時間で自分が望む医療を受けることができます。AIやロボット、ビッグデータといった目標を実現するための手段は多くあります。また、IT技術だけではなく、「人」が重要になってきます。IT技術のみでは、物事の意味を考える事ができません。「人」が、物事の意味を考えて、目標実現を可能とします。私もその一助になればと思っております。

参考文献:「治療では 遅すぎる。 ひとびとの生活をデザインする「新しい医療」の再定義」 武部 貴則 (著)

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